
第3回(2004年9月)
横山 徹先生(北陸電力,15回生)
「近況報告〜当社の過重労働対策」
皆様、はじめまして。北陸電力産業医の15回生の横山
徹と申します。産業医学推進研究会に所属される皆様方には日頃より貴重なアドバイスをいただくなど大変お世話になっています。多くの方に支えていただき、産業医生活をはじめて2年目の夏を元気に過ごさせて貰っています。
最初に会社の紹介を簡単にさせていただきますと、北陸電力は富山市に本社を置き、主に富山県・石川県・福井県と岐阜県の一部に電気を供給しています(日本の人口の約3%相当)。(ちなみに北陸地方には富山県の黒部第4ダム、福井県の原子力発電所など多くの有名な発電施設がありますが、殆どが関西電力の施設です。)電気事業を取り巻く環境はめまぐるしく変化しており、当社は「電力自由化」の範囲が拡大し、当社の志賀原発2号機が運転開始される2005年を勝負の年とし、営業力の拡大を図るとともに地域における企業の社会的責任を果たすために活動を行っているところです。リストラも進んでおり従業員数は約4,800人で、最近10年で約1,500人削減されました。営業を中心に仕事の分野は広がり、人員は削減されるという過酷な状況でも、各個人はそれぞれ目的意識を持って働かれています。当方は現在、本店にある富山健康管理センターにて富山県、岐阜県に勤務される約2,700人の健康管理を行っています。今年度は、経営理念の中に唄われている「企業の社会的責任への取組みと活力ある企業風土の構築」の項に産業保健スタッフが果たす役割があると考え、可能な限り現場を訪問し、従業員のニーズをうまく捉え、満足していただけるサービスをすることを目標に毎日を過ごしています。
最近、過重労働が大きな問題となっていますが、皆様の企業ではどの様に対応されていますか?当社では近隣の同種企業がサービス残業を指摘された頃から企業として本格的に過重労働に取り組み始めました。過重労働に伴うと思われるメンタルヘルスの問題も発生しました。問題解決にあたっては、人事・労務部門の方と協力しながら試行錯誤している段階です。産業医は1ヶ月80時間以上の時間外労働をされた方と面談を行っていますが、過重労働に対しては年代別に受け止め方が異なる様で、50歳代の役職者の中には、“仕事をして何が悪い!自分が若い頃は朝まで働いても何も言われなかったのに”
といわれる方が多くいます。30歳代の方は過重労働の改善に対して積極的に取り組んでくれます(生きてきた時代や、実際に時間外労働数が増加しているのが30歳代に多いのも影響しているからでしょうか?)。ストレス調査ではやりがい・達成感を感じない、休暇を取りづらい、職場内での協調性がない(同じチーム内で誰がどんな仕事をしているのか分からない)と答える方にストレス反応が強くでています。時間外労働削減に向けて、様々な努力されていますが、国・県等から突然資料の請求をされる、住民からのクレーム(特に原子力関係)への対応等急な用件も多く、なかなか時間外労働を確実に減少させる事が出来ない部署もあります。このような中で労務と協力して、過重労働に関する講習会を開き、管理監督者の皆様には時間外労働削減への対策の実施、各個人へのストレスチェックの励行はもちろん、業務内容・スケジュールのチーム内での周知(全体・各個人)、明確な指示、労働の中にやりがいが感じられるような環境(裁量権の増加等)の設定等、労働の質の向上をお願いしているところです(今後、管理監督者へのフォローも重要となってくるでしょう)。過重労働によるストレス増加は、メンタルヘルスを始め心身の健康に影響を与えますし、人間関係や企業の生産性・社会的責任にも関係してくる分野と考えています。産業医をはじめとした産業保健スタッフや労務だけが頑張ってみてもあまり効果はなさそうです。企業の方針のもとに、様々な部分で対応・協力する事が必要と思われます。今後、多くの部門の方と協力して対策を充実させていきたいと考えています。
以上、過重労働について当方が現在行っている事を書かせて頂きました。
産業保健活動の分野は幅広く、ひとつひとつが独立している訳ではなく重なり合う部分がかなりあります。産業医は、問題を様々な視点から見極め何が重要か判断する能力が必要であり、また世の中のあらゆる情報をうまく処理する事も大切であると痛感させられています。今は、あらゆる事が経験・勉強の段階で、ひとつひとつ段階を着実にクリアしていきたいと考えています。また、当社の関連会社の産業医は近隣の開業医の先生方がされている事が多いので、医師会等を通じて地域医療ともうまくつきあい情報交換をして行きたいと考えています(既にかなりお世話になっています)。
今後とも皆様の御指導・御鞭撻の程、宜しくお願い致します。
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本サイトの内容は、「Oh! Oh!
ニューズ(2004年7月号)」に掲載された記事を、同編集部および横山先生のご了解のもと、一部修正して掲載しています。 |
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