
第4回(2004年11月)
上原 新一郎先生(西日本旅客鉄道 大阪鉄道病院保健管理部,13回生)
「安全安定輸送と健康管理」
西日本旅客鉄道(JR西日本)の産業医で13回生の上原 新一郎と申します。よろしくお願いいたします。
日本の鉄道は「世界一」であることは誰もが認める事実です。安全輸送は基本的なサービス。安定輸送は必要なサービス。そこからいかに付加価値をつけるかが現在の各鉄道会社の課題です。その
付加価値をつけるために、当社には様々な職種があります。運転士、車掌、駅員はよく目にすることが多いでしょう。それ以外にも多くの裏方の仕事があります。線路を保守点検する、電力・信号・通信機器、施設、設備の維持管理をする、車両をメンテナンスするなど様々です。もちろん、会社自体の管理を行う企画
・間接部門もあります。実に多くの「ヒト」がかかわっています。
当社において、産業医業務は実に多彩です。まず、各種の健康診断を実施し結果判定をします。さらに、職場巡視を行い、健康教育(管理職教育など)も実施いたします。特に職場巡視に特徴があるのではないかと思います。「♪せ〜んろは続く〜よ、ど〜こまでも〜♪」という歌がありますが、当社のエリアは広いです。東は新潟県、南は和歌山県、西は福岡県まで展開しています。全長5,032km、駅数
は1,215あります。事業場が点在している「分散事業場」の典型です。そのうち、私の所属する部署は近畿圏を担当しています。それぞれの箇所(社員数50名以上在籍している事業場)への職場巡視を行います。ひと月のほとんどを職場巡視に費やします。
健康問題と安全問題(さらには安定輸送)は密接な関連があります。近年、改札機、券売機などに代表されますが、様々な分野で機械化されて省力化、効率化が図られています。しかし、鉄道は緻密で巨大なシステムで構築されています。その中で「ヒト」の役割は決して少なくありません。最終的な判断をするのはもちろん、確認点検など機械ではできないことがたくさんあります。また、営業的な面では「ヒト」と「ヒト」とのコミュニケーションが大切です。結局のところヒトが中心であり、そのヒトをメンテナンス(ちょっと大袈裟?)するのが産業保健スタッフなのではないでしょうか?
産業医としてのかかわりとして健康問題はもちろんですが、それ以外に労働災害、運転事故との関わりも業務のひとつです。なぜ事故を起こしたのか?健康面の問題はなかったのか?対策はどの様にすればいいのか?などです。ヒューマンエラー対策のキーワード
「4M」があります。Man,Media,Management,Machineです。対策にはすべてのMに対し様々な可能性を考慮し対策が行われて事故防止になるのです。鉄道輸送行のみならずいろいろな業種でいえると思います。これまでの厚生業務の一環という考え方のみでは対応しきれない複雑な状況が多くあります。医学的知識のもと、関係箇所との協力の下で対策を考える必要性があることもあります。多様化する産業保健における産業医の役割は、ますます重要性を増しています。さらなる発展のために努力する毎日です。
これからも様々な活動のできる産業医となるべく研鑚の毎日です。これからも諸先生方をはじめ皆様のご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
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