
2007年8月4日 近畿地方会 [報告]
2007年8月4日(土)に、藤野
善久先生(産業医科大学
公衆衛生学 准教授,15回生)をお招きし、近畿地方会を開催しました。
参加者は11名でした。
藤野先生のお話は、公衆衛生はコミュニティの組織化された努力である、という話から始まりました。歴史的に、公衆衛生対策は、感染症対策のように因果関係が明確なものが前提となっていました。このときの「コミュニティ」とは、単なる個人の集まりとしての集団として捉えられていたのだと思いました。しかし、日本の社会が成熟化してくるにつれて、公衆衛生対策は、従来の感染症対策から生活習慣対策に移行してきました。その結果、感染症対策で用いられていた従来の健康の因果関係だけでは説明できないことが増加してきました。私は、今回の講演をお聞きして、その説明できない部分を説明する一つの見方として、コミュニティ(集団)に対する見方が変化し、コミュニティが個人に与える影響を研究する分野として、社会疫学という分野が出現してきたのだろうと感じました。
今回のお話では、その社会疫学の中でも、集団の経済的な格差が、集団に属する個人の健康に与える影響について、話が進められました。格差社会には、同時に、健康格差が存在するということです。その格差に対して、社会疫学では、その属した集団によって、個人の努力が届かない次元で、将来の健康が左右されるのであれば、自己責任ではなく、政策的な介入が必要であると考えます。
私は、集団の個人の健康に与える影響を研究する社会疫学の視点は、企業という集団内で仕事をしている産業保健スタッフにとっても、2つの理由から、不可欠な視点であると思いました。最近、産業保健でも、組織的な介入の有効性が認められるようになって来ました。そういった際に、産業保健スタッフにとっても、この社会疫学の考え方は生かすことができます。これが1つ目の理由です。また、産業保健の扱う組織で個人は多くの時間を過ごすので、育った集団で規定された要因が、産業保健の活動を通じて、格差を修飾し、是正する場としての産業保健を捉えることが出来るのではないかとも考えました。これが2つ目の理由です。改めて、集団、コミュニティとは個人の単なる集まりではないということを認識することが出来ました。
江口 尚(
エクソンモービル,18回生)
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(参加者。後列左端が藤野先生。)
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