本文へスキップ

RSS RSS
最終更新日:2026年4月21日

近畿地方会

2026年3月1日 第53回研究会

日時
2026年3月1日(日)13:00~15:30
会場
ミーティングスペースAPイノゲート大阪
&
後日オンデマンド配信
プログラム
レクチャーセッション 
『治療と仕事の両立支援』
講師:永田 昌子先生(産業医科大学 医学部 両立支援科学 准教授,医18期卒)

グループディスカッション
参加者数
53名(現地15名,オンデマンド登録38名)
参加登録
伊藤 遼太郎 (クボタ,医33期卒)

2026年3月1日(日)開催の近畿地方会第53回研究会についてご報告申し上げます。

今回はAPイノゲート大阪での現地開催とオンデマンド配信を併用して実施し、現地15名、オンデマンド登録38名(計53名)の方にご参加いただきました。
講師の先生ならびに参加者の皆様に厚く御礼申し上げます。

特別講演として、産業医科大学医学部両立支援科学准教授の永田昌子先生(医18)より、「治療と仕事の両立支援」をテーマにご講演いただきました。

冒頭では、生産年齢人口の減少を背景とした働き方改革の流れ、高齢者・女性労働者の増加に伴い治療を要する就労者が増えていること、さらに医療技術の進歩による入院期間の短縮と外来治療への移行が進む中で、治療と仕事の両立支援の必要性がますます高まっている社会的背景をお示しいただきました。

続いて、2026年4月施行の新指針および診療報酬改定についてご解説いただきました。
新指針については、現行ガイドラインの内容がほぼ踏襲されており、産業保健現場において特段の新たな対応が求められる変更点は少ない一方で、対象疾患の定義として「反復・継続して治療が必要となる疾患」にメンタルヘルス疾患等も広く対象となることで、今後の産業保健現場にも影響が注目されるとのことでした。
診療報酬改定については、現行の「療養・就労両立支援指導料」の仕組みが2018年に導入されて以降普及が進まなかった実態について、産業医科大学病院の算定実績データを交えてお示しいただきました。
普及が進まない背景として、職場と医療機関の情報のやり取りの煩雑さが指摘されており、厚生労働省が医療機関内で完結できる新たな様式のスキームを導入したものの、大きな構造変化には至らない可能性があること、また両立支援コーディネーター加算が50点から400点へと大幅に引き上げられ、対象疾患の定義廃止とあわせて、今後は診療所等で積極的に企業と連携しようと試みる医療機関が増える可能性があり、産業保健現場にも少なからず影響するのではとのご知見をいただきました。

さらに、産業医として病院外来に携わる中で感じる問題意識を提起されました。
1点目は、安全配慮上のリスクが残存する労働者への対応です。
「リスクゼロ」を求める職場と、不確実性を前提に医療を行う主治医との間で生じるコミュニケーションエラーを指摘された上で、現在研究中の「治療と仕事の両立支援における安全配慮上の課題が残存する事例の就業上の措置の検討ステップ」を紹介されました。
本ステップは、本人・職場の意向確認から医学的評価、リスク低減策の検討、リスクコミュニケーションと合意、両立支援プランへの落とし込み、見直しに至る一連の手順を7つのステップで示したものであり、法的妥当性についても外部専門家の確認を経て作成されたとのことでした。
2点目は、合理的配慮の浸透が進む中での就業上の配慮のあり方です。
これまで産業医や職場の裁量の中で行われてきた配慮が、今後は労働者からの正式な合理的配慮申請という形に移行していく可能性を示唆され、特に大企業においては申請を拒否しにくい場面が増える可能性への問題意識を共有いただきました。

講演後の質疑応答も、疾病短時間勤務制度の導入、育児・介護の短時間勤務制度の適用拡大、多様な雇用契約形態の整備など、実務に即した活発な意見交換が行われました。

後半では、次の2テーマについてグループに分かれてディスカッションを行いました。
まず、「治療と仕事の両立支援で難しかった・葛藤した事例」として、参加者それぞれの現場での実体験をもとに、対応に苦慮した事例や葛藤した場面が率直に共有されました。職種・業種・企業規模を超えた多様な視点からの意見交換となり、同様の課題に悩む実務家同士が互いの経験から学び合う、実践的な場となりました。
次に「『7つのステップ』5)リスクコミュニケーションについて ~残存リスクとどう向き合うか。関係者、リスクテイク・リスク分散、法的懸念~」について、講演で紹介された「検討ステップ」の中核をなすリスクコミュニケーションをテーマに、残存リスクが存在する中でどのように関係者と合意形成を図るか、リスクテイクやリスク分散の考え方、さらには法的懸念への対処など、実務上の難所について踏み込んだ議論が交わされました。現場ならではのリアルな葛藤と知恵が共有され、大変示唆に富むグループディスカッションとなりました。

閉会後の懇親会では、途中から駆け付けてくださった会員の方もお迎えし、講演の内容をはじめ産業保健に関わる様々なテーマで活発なコミュニケーションが繰り広げられ、大いに盛り上がりました。














バナー



産業医大のサイトに移動します


産業医大のサイトに移動します

Google




サイト内を検索
ウェブ全体を検索