近畿地方会
2026年7月11日 第54回研究会
- 日時
- 2026年7月11日(土)15:00~17:00
- 会場
- ミーティングスペース AP 大阪駅前 ROOM A
- テーマ
- 頭痛ケア
「産業医・保健師のスキル向上を目指した頭痛ケア教育プログラム」
- 講師
- 石井 亮太郎先生(京都府立医科大学 脳神経内科) 他
- 参加者数
- 25 名(会員外含)
- 報告
- 髙橋 宏典(住友ゴム工業,医33期卒)
7月11日(土)に開催した、近畿地方会第54回研究会についてご報告です。
今回の研究会は、頭痛ケアをテーマとして取り上げ、「産業医・保健師のスキル向上を目指した頭痛ケア教育プログラム」を実施しました。
現地参加のみの形式となりましたが、25 名(会員外含)の皆さんに参加をいただきました。
お忙しい中、現地にお集まりいただいた皆さん、ありがとうございました。
今回の研究会は、2部構成で実施しました。
第1部では、講師の石井 亮太郎 先生(京都府立医科大学、脳神経内科)に頭痛に関するレクチャーをいただきました。
レクチャーでは、「頭痛」に関するデータ、見逃してはいけない(レッドフラッグ)サイン、片頭痛や薬剤の使用過多による頭痛(MOH)等について、とても分かりやすく説明いただきました。
障害生存年数(YLD)という日常生活への支障を表す指標を用いて世界の疾病負担を調べた研究では、「片頭痛」は全疾患のうち2番目に支障が大きい疾患であり、特に就労世代のキャリアにも大きく影響する深刻な問題であることが共有されました。
頭痛の有病率(片頭痛8.4%、緊張型頭痛22.4%)と外来頭痛患者における片頭痛の割合(84%)からは、外来頭痛患者では圧倒的に片頭痛が多い状況であることがわかりました。「頭痛診療においては、片頭痛を知り尽くすことが大事」という石井先生の言葉がとても印象に残るデータでした。
また片頭痛(前兆のない片頭痛)の診断基準についても実際の臨床の経験も交えてわかりやすく説明いただきました。頭痛の回数(5回以上)、持続時間(4~72時間 未治療もしくは治療が無効の場合)、歩行や階段昇降に増悪するという点については、特に特徴的な所見とのことでした。
片頭痛のライフコースの説明では、遺伝性の要素もあることから、特に就労世代であれば、親がめまい・耳鳴りもちであるかを確認することも本人の頭痛を見分けるためには重要ということも印象に残りました。
片頭痛患者においても、漫然としたOTC使用から、薬剤の使用過多による頭痛(MOH)に移行してしまうことがあり、MOHになってしまうと薬剤の中断も含めてかなり治療に難渋するということでした。この点については、産業保健の現場においても、頭痛の専門家に早めにつないでいくことが大変重要ということがわかりました。
レクチャー部分だけでも、今後の健康相談、個別対応等、産業保健の現場で活かせる知識や示唆の提供を多くいただきました。
第2部では、大阪、京都、兵庫・その他の3グループに分かれ、それぞれの地域の頭痛専門医のファシリテートのもと、グループワークを実施しました。
グループごとに異なる課題テーマ(症例検討)が設定され、実践的な内容ということもあり、どのテーブルでも熱心な意見交換が行われ大いに盛り上がる時間となりました。 参加者からは「他のグループの課題についてもぜひ取り組んでみたかった」「もっと時間が欲しかった」といった前向きで意欲的な声が多く聞かれ、非常に満足度の高いワークショップとなりました。
また、地域の専門医と産業保健職が「顔が見える関係」を築き、専門家へスムーズにつないでいく重要性を共有できたことは、まさに産業医科大学の建学の使命である「地域医療との有機的な結合」を体感する貴重な機会となりました。
研究会終了後には懇親会を開催し、講師陣も含めてさらに交流を深めました。終始なごやかな雰囲気のなか、グループワークの延長のような熱い議論や情報交換が行われ、大いに盛り上がる場となりました。