東海地方会
2025年8月30日 第32回研究会
- 日時
- 2025年8月30日(土) 13:30~17:00
- 会場
- ウインクあいち 1301特別会議室
&
オンライン
- プログラム
- 活動報告「労働衛生スタッフとしての20年」
古川 詩織氏(トヨタ自動車株式会社,衛生学科6期卒)
特別講演「私のこれまでの歩みと最近の化学物質管理の話題」
樋上 光雄教授(産業医科大学 産業保健学部 産業衛生科学科,衛生学科3期卒)
ワークショップ - 参加者数
- 39名(会場24名,オンライン15名)
- 報告
- 大須賀 淳(三菱ケミカル,医32期卒)
2025年8月30日(土)開催の東海地方会第32回研究会について報告いたします。
今回は現地+オンライン(Zoom)のハイブリッド開催でした。厳しい暑さの残る中でしたが、会場24名、オンライン15名(計39名)の皆さんにお集まりいただきました。講師の先生方、参加者の皆様に御礼申し上げます。
第一部では、会員報告として古川 詩織氏(トヨタ自動車,衛生学科6期卒)より、「労働衛生スタッフとしての20年」としてご発表いただきました。
はじめに、トヨタ自動車の衛生上の課題について製造工程を交えながら、理念、メンバー、健康支援センターとの違い、健康経営優良法人の取得していることお話しいただき、その後経歴を交え業務の紹介をしていただきました。就職後に暑熱対策、エルゴノミクスや全社での施策の展開、健康づくり活動、労働者の高齢化といった施策に取り組み、現在は労働衛生グループのグループ長として歩まれているということでした。法令の内容を実際の工程に当てはめる際に設計の段階から各部署等と相談する際の難しさ、設計の変更や化学物質の代替化のご苦労、生産技術の基準の作成、官庁への届け出、作業環境測定、労働衛生教育について説明されました。また、最後に自律的化学物質管理における対応事項について、リスクアセスメント対象物質の増加に伴う対応状況、社内システムに応用できるアセスメントアプリの開発・作業時間記録アプリ、管理者や責任者の選任や教育、『ひとめSDS』などの取り組みについて紹介いただきました。
第二部は特別講演として樋上 光雄先生(産業医科大学 産業保健学部 産業衛生科学科,衛生学科3期卒)に「私のこれまでの歩みと最近の化学物質管理の話題」としてご講演いただきました。
はじめに、自己紹介として釣りやウィスキーの香りといった趣味のことを交え、ご家族のことや経歴についてお話があり、就職当時に関することや作業環境測定士として経験を積んだこと、学位や資格のことについて紹介いただきました。その後、趣味の釣りを交え学生の卒業研究の結果のご紹介に続き、ご自身の研究活動について皮膚ガス、におい、空気中の有害物質除去、細菌、骨中の鉛の研究活動についてご説明がありました。次に、最近の化学物質管理の話題として、化学防護手袋の性能について、特に手袋の防御性能の簡易検査の手法とそれを用いた結果や、手袋接着部への脆弱性の懸念についてご教授いただきました。そのほか、マニュキュア除光液による有機溶剤中毒やイソプロピルアルコールの表示、経皮吸収促進剤、マスクの2点固定についての話題や課題感の共有がありました。全体としてユーモアを織り交ぜながら、最新情報について実務的に役立つ内容をご紹介いただき大変好評でした。
第三部では、現地参加者にてワークショップを行いました。「産業保健職が関与する裁判事例」「外国人労働者への対応」「熱中症対策」「生活習慣病対策・肥満対策」というテーマで4~5人の班に分かれ、それぞれのテーマについてKJ法にて議論しました。まずアイスブレイクとして共通点探しゲームを行い、その後、各自が抱いている課題感、対応案を付箋に書き出し、グルーピング・図解化しながら議論しました。最後に議論内容を他グループに発表し共有しました。各グループにおいて活発な議論が行われ、参加者からも交流ができたと好評でした。