東海地方会
2026年2月28日 第33回研究会
- 日時
- 2026年2月28日(土) 14:00~17:10
- 会場
- JR静岡駅ビル パルシェ貸会議室 第1会議室
&
オンライン
- プログラム
- 特別講演1:内野 文吾先生(ヤマハ発動機,医14期卒)
『地方製造業における産業医経験と課題』
特別講演2:秋山 ひろみ先生(日本キヤリア,医12期卒)
『産業保健職の三方よし(自分よし、社員よし、組織よし)~メンタルヘルスへの取り組みから~』
小グループでの意見交換
- 参加者数
- 30名(会場20名、オンライン10名)
- 報告
- 大須賀淳(三菱ケミカル,医32期卒)
2026年2月28日(土)開催の東海地方会第33回研究会についてご報告申し上げます。
今回は久しぶりに静岡での開催となりました。現地開催とオンライン(Zoom)を併用して実施し、会場20名、オンライン10名(計30名)の方にご参加いただきました。講師の先生方ならびに参加者の皆様に厚く御礼申し上げます。
第一部では特別講演として、内野文吾先生(ヤマハ発動機、医14期卒)より、「地方製造業における産業医経験と課題」というテーマにてご講演いただきました。
冒頭では、生い立ちやご実家の環境にも触れつつ、産業医科大学進学までの歩み、卒業後の研究テーマやご経歴が語られました。続いて、ヤマハ発動機株式会社の会社概要および健康推進グループの体制を踏まえ、これまでの実践事例が共有されました。はじめの2事例では、社内外で問題が生じた局面や金融危機の渦中において、内外の状況変化が組織・人に及ぼす影響、そしてそれに対応しようとする社内の動き、その中で産業医・産業保健部門が果たしうる役割と限界が示されました。社会や組織の大きな流れの中で産業医は何ができ、何が難しいのかを考えさせられる内容でした。つづく3事例では、就業継続が困難となったケースや、非常時の個人情報管理、労災対応といった個別・実務的テーマが取り上げられ、それぞれの対応の難しさや解決案・限界、それに伴う葛藤も含めて率直に語っていただきました。併せて、平時からの仕組み整備の重要性についても示唆が示されました。最後に、産業医と経営者の接点という観点から、会社・地域との信頼関係の築き方についての提言がありました。全体的に教科書的な正解だけでは捉えきれない実践に即した内容をご教示いただくとともに、実体験の重要性をご示唆いただき大変好評でした。
第二部では特別講演として、秋山ひろみ先生(日本キヤリア、医12期卒)より、「産業保健職の三方よし ~メンタルヘルスの取り組みから~」をテーマにご講演いただきました。
はじめに、幼少期の海外居住経験を交えながら生い立ちやご家族のことが紹介され、続いて、最近の忘年会で社員の方々から声を掛けられたエピソードを通じて、日ごろの産業保健活動を下地とした関わりが温かく共有されました。また修練医時代の学びとして、心療内科でのご勤務も併せて志望されたことに加え、積極的傾聴法や解決志向アプローチに関心を持ち、習得してこられた経緯が述べられました。その後、日本キヤリア株式会社の概要・沿革・製品に触れたうえで、社内での取り組みについて、2000年ごろから順に時系列で紹介されました。具体的には、「活気ある職場づくり」の一環として、話を聞くことを基盤にしたラインリスナー制度やその教育を進めてこられたこと、組織課題を背景にコーチングを学び面談に活用されたこと、さらには外部での発表経験へとつながったことが示されました。加えて、富士市精神科紹介システムや静岡市富士感染症審査協議会への関与、メンタルヘルス休職者の課題を踏まえたメンタルヘルスマネジメント教育の実施、中途採用者・働く女性・メンタルヘルス不調者等の当事者同士がつながり意見交換できる場の立ち上げなど、社内外にまたがる実践が紹介されました。また、コロナ禍では職域接種にも取り組まれたとのことでした。全体を通じて、「会社の声が産業医に届き、産業医のちょっとした発言が会社に届く」という相互の良好な関係が、取り組みの積み重ねによってさらに深まっていく内容となっており、大変好評でした。最後に、産業医として目の前の出来事と目の前の人に対して微力ながら最善を尽くしていくことが、結果として“三方よし”に落ち着いていく、というメッセージで締めくくられました。